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Channel: ONE試合レポート|ONE Chanpisonshipの試合レポートはMMAPLANET
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【Special】『この人と話しておきたい年末、2018』。内藤のび太─01─「アレで勝てるというのが……」

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Nobita【写真】取材は夕暮れ前の池袋北口で行われ……のび太は「池袋は怖い」と表情が硬かった(笑) (C)MMAPLANET

2018年ももう残すところ僅か……。MMAPLANETでは、年内に1年の総括と新たな1年の話をどうしても聞いておきたい格闘家を5人ピックアップした。

題して『この人と話しておきたい──2018』。3人目は──9月にONE世界ストロー級王座を失った内藤のび太に話を訊いた。

(C)ONE

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5月に2度目の王座奪取。8月にONE日本大会開催の発表があり、このままONEとともに勢いに乗るかと思った矢先、9月に1度はRNCで完勝しているジョシュア・パシオに判定負けを喫し、タイトルを失った。

思えば本格的にONE裁定の中身が吟味されるようになったのは、のび太の王座転落があってからだ。格闘技として試合をコントロールしていたのは、紛れもなくのび太だった。それでも勝てないONEの裁定基準について、のび太は何を想うのか。また常について回る現役続行問題について、尋ねた。


──9月にジョシュア・パシアに敗れONE世界ストロー級王座を手放した後、のび太選手が話すときの一人称が『ワシ』になり、周囲が心配していたという話を確かな筋から伺ったのですが、その後は大丈夫ですか。

「アハハハ、分からないです。ワシ……ですか? 自分では意識したことはないですし、言っていたのも覚えていないです。自覚症状はないですが、ひょっとすると言っていたかもしれないです。もう捨て鉢になって、そんな話し方をしていた可能性はあります」

──ワシを使う心境というのは?

「それは分からないです。ワシという言葉を使う心境は……(笑)。まぁ、一応は負けたなっていう感じでなっていたのかもしれないです。それで……ワシって言ったかどうかは分からないです(苦笑)」

──と同時に控室では『鈴木隼人選手みたいな、才能がある人が戦えば良いんだ。ワシがやるもんじゃない』というような言葉も口にしていたとも聞きましたが……。

「ワシもそうだし、そういうことを言ったかどうかも覚えていないですが……まぁ、取れないという致命的な部分が出た試合だったので。それとタイトルマッチを何度もやらせてもらったので、次は鈴木隼人選手の番だという気持ちではいたかもしれないです。

そうなってもしょうがないと……普通に考えた場合は。僕もまたチャンピオンにはなりたいですが……」

──三度チャンピオンになりたいということは、引退は考えなかった? 以前は負ければ終わりという考え方でしたが。

「う~ん、微妙なところですね。変わってきた部分もありますが、連敗しているようだと続けられないですからね。ただ、もう1度タイトルマッチを戦えるようになりたいとは思っています。少なくとも、もう1試合は確実にやるつもりです」

──1試合は……というのは気になりますが、パシオ戦の敗北を振り返ってもらえますか。5R終了時点で、裁定はどう転ぶとのび太選手は思っていたのでしょうか。

「僕自身は懸命に戦っていて、何がどうかというのは冷静に判断はつかないというのが正直なところだったのですが、5Rに入る前のインタバールでセコンドから『ここで取らないと負けるぞ』という話を聞かされていたので……。だから、もう取りに行くためのグラップリングのような試合をした結果、取れなかったのでヤバイなという気持ちではいました」

──ONEの裁定基準についてはダメージ優先ということは、伝わっていたのですが、詳しく論議がされるのはのび太選手の敗北からでした。ニア・フィニッシュ、ダメージ、打撃のコンビネーション&ポジショニング、テイクダウンの攻撃と防御、そしてアグレッシブという順序は、まだあの時点で浸透していなかったです。

「そうでしたね……ただ、6月にアドリアーノ・モライシュがジェヘ・ユースタキオにスプリットで判定負けをしたじゃないですか。あの試合があったので、テイクダウンで上を取っても打撃に負けるという見方は、鶴屋さんたちはしていたと思います。

僕はそこまで気にして戦っていたわけじゃないですが、モライシュのスプリット判定負けを考えると、あのままでは僕も負けるという風にセコンドは判断していたんだと思います」

──なるほど、その見方は間違っていなかったわけですね。実際に戦っていてテイクダウンして、トップにいるのだからのび太選手のペースで試合は進んでいるとは思っていなかったですか。

「後半はそうでした。ただ、もう必死だったから頭は回っていなかったです。頭が回らない攻撃が前半にあったのかもしれないですし」

──いや、そういうダメージの残る攻撃は被弾してはいなかったかと思います。映像は確認はされましたか。

「ハイ。後から見ると、効いた感じの攻撃はあったかと思います。テイクダウンを仕掛けて、鉄槌を連打されたり。とにかく1Rと2Rは打撃の面で僕の印象が悪くて、その流れでバックを取られたので、そこを挽回できなかったという試合でしたね。惜しい場面、山場を作らないと印象点を持っていかれてしまう」

──その辺り、ラカイ勢は本当に長けています。11月にビビアーノ・フェルナンデスがケビン・ベリンゴンに敗れた試合など、ONEの裁定基準でもビビアーノが勝っていたよう思えました。

「アレは僕もビビアーノだと思います。アレが負けになるのはチョット……逃げているのは凄いですけど、それはエスケープで攻めているのはビビアーノだったので、あれだけ寝技の強い人があの試合展開で判定負けになるのは……どうすれば良いのかというのはあります」

──仰る通りかと思います。ラカイに適した判定基準になっているのと、ラカイ勢の研究熱心さは認めるところですが。

「ラカイが寄せて行ったのか、ルールがラカイに寄ったのか分からないですけど……。アレで勝てるというのは、ラカイにはあるのでしょうね」

──そうなるとタイトルを目指し、のび太選手が再起をするには戦い方をアジャストする必要もあるかと。

「僕のスタイルはONEには合っていないですね(笑)。フィニッシュも狙っているのですが、削り続けた先にあるスタイルなので」

──それでは判定勝ちはできない。その事実が明確になりました。

「ハイ。だからフィニッシュですね。1にも2にもフィニッシュ、そこでニア・フィニッシュに持ち込む。僕はこれまで抑えるという部分で攻防をしていたので。その一歩、奧で攻防しないといけないです。

9月のパシオ戦だけでいえば、スクランブルとかでなく背中をつけてバックを取らせないように戦われました。それで下からパンチとかエルボーとか打って来て……印象点を取られるという」

<この項、続く>


【ONE】テレビ東京での放送が決定!! 放送と通信、新たなメディア展開時代をONEが切り開く──のか!!

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ONE【写真】グローバル・スポーツ・メディア・プロパティとして、ONEはかつてなかったメディア戦略を日本で展開していくことになるのか (C)MMAPLANET

28日(金)、ONE Championshipがテレビ東京で放送されることを発表した。


ONEの遂地上波進出が決まった。ONEは今回の放送決定に際し、両者の関係を提携という形で発表した。この複数年のパートナーシップはライブ、録画中継からなるウィークリー・プログラムをBSテレビ東京を含むグループ内で放送していくことが明らかになった。

チャトリ・シットヨートンONEチャンピオンシップCEO兼会長は、「ONEチャンピオンシップがテレビ東京とパートナーシップを結んだことに興奮を禁じ得ません。日本は柔道、空手、剣道、相撲、合気道など、数々の豊かな格闘技、武道の歴史を持つ国です。ONEチャンピオンシップでは世界で最も格闘技を理解した日本の観客たちに、武士道に代表されるマーシャルアーツの真の価値観である尊敬心、思い遣りなどをテレビ東京と手を取り合って伝え、格闘技がさらなる高みを目指すことに誇りに思います」とプレスリリースにコメントを寄せている。

地上波進出が決まったONEだが、日本で注目度が上がるきっかけとなったのはAbema TVとの提携により、今年の4月より1大会で2名の日本人ファイターの出場が確約されたからに他ならない。これにより、ONEを目指す日本人トップ選手が倍増した。来年1月19日のジャカルタ大会には4人の日本人選手がラインナップに名前を連ねているのが、この増加はテレ東との協力体制が築かれたことが関係しているのかもしれない。

気になるのは地上波=テレ東での放送が決定した今、Abemaでのライブ配信はどうなるのかということだ。MMAPLANETではチャトリCEOに尋ねると、「世界で最高のマーシャルアーチストの雄姿をテレビ東京とAbema TVによって、日本のファンに届けられることはとても嬉しい。素晴らしい武士道がONEには存在しているからね」という返答があった。

またAbema TV格闘チャンネル北野雄司プロデューサーも、「AbemaTVは2019年も引き続きONE Championshipのライブ配信を継続します。また『格闘代理戦争』など大型リアリティ番組に関しても、2019年も最低2回の実施を目指しており、すでに格闘コアファンに認知された存在であるONE Championship をより広く若い世代に広げていく試みを続けます」と明言している。

さらに北野氏はテレビ東京とAbemaのコラボレーションにも前向きだと言う。これが現実のものとなると、FOXとUFC Fight Passやパラマウント&Bellatorオフィシャルホームページという連動とは一味違う、経営母体が異なる放送&通信事業主の間に協力体制が敷かれることとなる。ONEを軸に日本の格闘技中継が新しい時代を迎えることになるかもしれない──テレ東での放送決定だ。

【ONE】Esportsも含め、ONEは2019年に45イベント開催。Hero Seriesとは?

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ONE【写真】加速的に新たな試みが発表されるONE(C)MMAPLANET

2日(火・現地時間)、1日(月・同)のチャトリ・シットヨートンCEO&会長のSNSでの公表を受けて、2019年のスケジュールがオフィシャル・ホームぺージで公式発表された。


昨年8月の時点で24イベントが明らかになっていた2018年のONEだが、ONE Warrior Seriesの6大会を加えた30のイベントの開催については周知のところだった。それが今回の発表では45大会がアナウンスされ、追加分は12度のONE Hero Series、そしてONE Esportsイベントが3度となっている。

このEsportsイベントを開くことも公となっており、気になるのはヒーロー・シリーズという耳新しいシリーズだ。チャトリCEOはこの新たな大会に関してSNSでは触れておらず、ホームページでも「後日、詳細について発表する」と記されている。

チャトリCEOはこれまでに立ち技のみのイベントを開くことを言及しているが、12大会という開催数に加え、立ち技にはスーパーシリーズという名称が既につけられいることからも現実的ではないか。

HERO=英雄という響きから連想される──あの国が関連しているのかも含め、全容の発表を待ちたい。

【Special】『2018年中に話しておきたかった人』。内藤のび太─02─「いよいよ、この時が来てしまった」

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Nobita Naito【写真】以前よりインタビューの受け答えは抜群に上達した内藤のび太。自虐ネタが冴え渡った (C)MMAPLANET

2019年を迎え、MMAPLANETでは2018年の間にどうしても話を聞いておきたかった格闘家を5人ピックアップした。

『今、この人と話しておきたい──2018』。後編『2018年中に話しておきたかった人』、第3弾は前ONEストロー級チャンピオン内藤のび太に訊いた、ONEでのこれから。

自己評価が極端に低い、のび太はONEストロー級戦線が日本人ファイターの集まる場になることを予め予見していたという。
<内藤のび太インタビューPart.01はコチラから>


──スクランブルの攻防がなかったから、バックも取ることができなった。

「僕に合わせた試合運びをしっかりとしてきましたね。チームラカイの選手はフィジカルも強いですが、なによりも相手を研究して対策を練っています」

──王座を失った試合から、2カ月半後のクアラルンプール大会でアレックス・シウバと決着戦という話もありました。

「あの時は……気持ちとして、こんな短期間で戦う必要があるのかと。生意気を言って申し訳ないのですが、そう思っていました。この短期間で戦っても、僕も成長していないし。どうせなら、互いに強くなってから決着をつけたい。そういう考えで、断らさしてもらいました」

──特にのび太選手は気持ちが入らない試合は、できないかと思います。そこでONEからオファーを得た猿田洋祐選手がアレックス・シウバに判定勝ちをしました。

「強かったです。戦い方もONEに合わせていて、僕の試合を見て研究してくれたのかなって勝手に思っています(笑)」

──もともと修斗という同じ場所で戦っていました。

「ハイ。猿田選手はフライ級で試合をしていて、本当に強い選手だと思っていました。ストロー級での活動はほぼ被っていないのですが、大先輩というイメージです。フライ級でもパワー負けしていない選手が、ストロー級に落としてきたわけですし、それは強いですよね。フライ級でまた戦うようになってからの田丸選手との試合も、完全にコントロールをしていたし」

──ONEストロー級戦線において、強敵が増えたことになります。

「このような状況になるのは、分かっていました。ファイトマネーなど条件も違いますし、ONEは勢いもあるのでストロー級のレベルでは日本は完全に抜けているので、強い日本人選手が集まってくるのは予想していました」

──結果的に欠場となり、猿田選手が代役に抜擢されましたが、鈴木隼人選手がジョシュア・パシオに挑戦することが決まっていました。のび太選手としては、どちらが優位だと思っていましたか。

「あまりこういうことを言うべきではないかと思うのですが……鈴木さんは本当に強いです。一緒に練習もさせてもらったこともあるし、その強さを知っています。パシオも強いですが、体で感じた感覚でいえば鈴木さんが勝つと思っていました。

猿田選手もそうですし、鈴木さんもそう。強い日本人選手がONEに気づくまで、僕はひっそりとやらせてもらっていたのに、いよいよここまで来てしまったなと(苦笑)。鈴木さんがタイトルに挑戦できなくなったことは……もう、僕はなんといっても良いのか……何もいえないです」

──また言及しづらいですが、パシオと猿田選手のタイトルマッチの行方に関しては、どのように予想していますか。

「寝技は完全に猿田選手です。アレックス・シウバとの試合を見ても、裁定基準を則した戦いをしていましたし、あのままの勢いで猿田選手かと思います。パシオのフィニッシュ能力が、どのように評価されるかというのもありますが…… 。

まぁ……自分に勝った選手が負けるというのは、僕の評価が下がることになるのですが、客観的に考えると猿田選手が勝つかと思います」

──そういう話を伺っていると、今後ののび太選手の目標は日本人選手になっていくわけですね。

「あぁ……どうなんですかね……。ONEで僕と戦ってくれるなら、やることになるのかもしれないですけど。日本のランキング制度のなかでもまれてきた選手は、アジアから出てきた選手より全体的にしっかりしていると思います

──のびた選手のONEでのキャリア、実は2年半の在籍期間でパシオとシウバの2人しか戦っていないという事実があります。

「そうなんですよ。だから他の選手とということにも恐怖を感じています」

──恐怖なのですか。ランキング制度でもまれてきた強さを見せるのではなく?

「鈴木さんが一通り倒してきた相手になるので、そこに喰われないように戦っていくことに恐怖を感じているんです……。それと3Rも久しぶりで……。ONEだけでなく、僕が世界戦で戦うようになった時は修斗も、もう5Rになっていたので」

──確かに。過去8試合は全て5R制で戦っていますね。キャリア14戦なのでのび太選手は5回戦が一番多くて、キャリア序盤は5分✖2R制ですから、3回戦は5試合しか戦ったことがないことになります。

「そうなんです。だから3Rで戦うことには、不安があって。5Rで削って戦ってきたので……どう、戦うのかと。今、ONEは凄いことになっています。その追い風は確かなモノです。でも、僕はその風に乗れていない(苦笑)」

──先駆者としてONEで戦ってきたのび太選手は、それだけの存在感も備わっています。だからこそ、次の試合が大切になってくるのかと。

「2月とかに試合がありそうなんですが、また決まっていないです。でも、もう誰だろうとやるしかないです。シウバになっても……うん、でも3回目だから、他の選手とやりたいというのはありますね。そういう選手の中から僕を倒す人が出てくれば、一気に上にいくかもしれないですし」

──なぜ、そこの前提が自分が負けることなのですか(笑)。

「いやぁ……跳ね返せるのか、そうじゃないのか。マニアックな意見かもしれないですけど、そういう僕の戦いでアジアのレベルがどうなっているのかを見てもらえればと思います」

──UFCがフライ級の活動を終え、フライ級のトップがONEになる。ストローがあると、フライ級からストローになる選手も出てくるかと。鈴木選手がそうだったように。

「いやぁ……(笑)、大変になりますね。まぁまぁまぁ、それで淘汰されていけば良いかなと」

──なぜ、淘汰(苦笑)。しっかりと追い風に乗ってください!!

「年も年なので、1試合、1試合をしっかりと戦うことですね。僕の帆が破れていなければ、追い風に乗れると思います。破れている可能性もあるので、そうなるとすぅっとフェードアウトしていきます」

──自虐ネタはしっかりと話せるようになったことは確かです(笑)。

「インタビューで最後の一言っていうは……、なんでこんなこと言っているのかと……後悔ばかりです(苦笑)」

【ONE87】1月25日マニラ大会はフライ級世界戦&和田竜光✖キンガドに加え、タイナネスの復帰に要・注目

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Tynanes【写真】ブランクは気になるが、タイトル戦線にすぐに絡んだでもおかしくないポテンシャルを持っているタイナネス(C)MMAPLANET

3日(水・現地時間)、25日(金・同)にフィリピン・マニラのMOAアリーナで開催されるONE87「Hero’s Ascent」の対戦カードが発表され、メインでジェヘ・ユースタキオがアドリアーノ・モライシュの挑戦を受けるONE世界フライ級選手権試合と共に、和田竜光がダニー・キンガドと対戦することが発表されている。


チーム・ラカイが擁する4人のONE世界王者の1人、ユースタキオは2014年9月にモライシュの持つフライ級王座に挑戦し、2Rでギロチンにより敗退。その後、モライシュを破り世界王者になったもののタイトル防衛戦を行うことなくベルトを剥奪されたカイラット・アクメトフに判定勝ちし、昨年1月に暫定王者に。正規王者に返り咲いていたモライシュを6月に下し、正規王者に輝いている。

テイクダウンへの評価が低いONE裁定ならでは、何度となくテイクダウンを奪われても寝技を逃れ、王者についた感もあるユースタキオにとって、真価が問われる初防衛戦となる。昨年下半期でONEの裁定基準は選手間にも浸透しきった。テイクダウンの評価は低くとも、モライシュは寝技でポジションを奪い、サブミッションでニア・フィニッシュもしくは立たれても勢いのあるパウンドを落とすなど、その戦い方も変わってくるだろう。

一方、ユースタキオはラカイ勢の中でもいち早くグラウンドの完成度を高めたウェルラウンダーで、散打的な回転系の打撃で派手に相手のバランスを崩す術も習得している。ONE裁定のなかでの勝負の綾も2巡目、ここから本格的な✖チーム・ラカイが計量4階級で見られることになる。

そのラカイの新世代のエース=キンガドと、ONEで3試合目となる和田のマッチアップは全容がまだ明らかとなっていないフライ級ワールドGPとONEフライ級戦線に大きな影響を与える一戦となるだろう。キンガドは打撃とともに自らテイクダウンや寝技を仕掛けることができ、MMAファイターとして特化した武器を持つというラカイ第一世代と比較して、より穴が小さいファイターといえる。

昨年9月に若松佑弥から──論争になった判定勝ちを得た際、パンチを被弾してダウンを喫した一方で、バックマウントからキャッチ級のRNCやえげつない関節蹴りに加え、勝負所のテイクダウン奪取とグラップリング寄りのファイトでジャッジの支持を得た。そんなキンガドに対し、和田はいきなりの一発ではなく流れを大切にしたファイトのなかで、ニア・フィニッシュとなる攻撃を仕掛けたいところだ。

前述したように和田にとって、この一戦はフライ級トーナメント出場や世界挑戦へ向け、その権利を声高に訴えるために勝利は絶対だ。流れを掴むことに掛けてJ-MMA界でも筆頭級の試合巧者・和田、ONEで勝利するためにより必要な決定機を嗅ぎ分ける能力が上昇し、キラーインスティンクトが見られるファイトに期待したい。

この他、日本からスーパーシリーズに小笠原裕典、鈴木博昭が出場し、それぞれエリアス・マムジとムエタイ、モハメド・ビン・マムードとキックボクシングで対戦するマニラ大会では、ライト級の実力者がサークルケージに戻ってくる。それがローウェン・タイナネスだ。2016年4月の安藤晃司以来、実に2年9カ月振りの実戦復帰となるタイナネスは1990年10月生まれの28歳のハワイアン親子鷹ファイターだ。

2011年9月に日本のHEATでMMAデビューを果たしたタイナネスは、プロ2戦目でフィリピン=URCCのマットで現ONE世界ライト級王者エドゥアルド・フォラヤンにTKO勝ちを収め、ONE初陣では香港在住の南アフリカ人ストライカー=ヴィシール・コロッサを下すなど、安藤戦まで8勝0敗の戦績を残している。

7年以上のキャリアで僅か8戦のみのタイナネス、この間んは所属ジムから離れるために2年のブランク、またUFC行きを公言しており、ONEと契約を解除するために働いていたという話も伝わってくる。

そんなタイナネスのONE再登場は、ONEが北米MMA界で存在感を露にしてきた証と取れることもできる。そしてホノリオ・バナリオとの復帰戦は、エディ・アルバレス参入のONEライト級戦線に強烈なダークホース出現を意味するモノとなる可能性が決して低くない。

【ONE】躍進ONEチャンピオンシップの裏に、長南亮あり─01─「日本を知ってもらうことに努めた」

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Ryo Chonan【写真】ピラニアならぬオヤカタ・バージョンの長南氏 (C)KEISUKE TAKAZAWA

2018年のMMA界のトピックとして、ONE Championshipの躍進が挙げられることは間違いない。特に日本での浸透度は過去6年間のONEの活動期間とは比較にならないといっても過言でないだろう。

ONEが国内で存在感が増すために欠かせない役割を果たしたのが、長南亮氏だ。過去2年、ONEと日本の関わり合いのなかで長南氏が行ってきた行動は、選手ありき。より良い日本の格闘技界のために、長南氏がどのような取り組みを行なってきたのか。

そこに存在するチャトリ・シットヨートンCEO兼会長への信頼関係を軸に語ってもらった。


──Abema TVのライブ配信の復活から日本人選手の毎大会2名出場確定、日本大会開催発表、そしてテレビ東京での放送決定とONEに関してポジティブな状況が、過去8カ月続いています。

「ここまでやってきたことが繋がっていたという状態になっていますね。それまでの流れや、ここからの動きというのは日本の格闘技界ではなかった状況なので、色々と楽しみです。

日本の格闘技界の歴史は、財を成した人が格闘技に参入してくると、その人にたかるような感じになり、格闘技に対する情熱が失わせる。その繰り返しでした。なので自分もONEと仕事をやっていくうえで、絶対にそうならないようにしなければと思ってきました」

──長南さんがONEの日本におけるアドバイザー、そして選手の世話をするようになって2年が経ちました。当時はどのような気持ちで、この仕事を受けたのですか。ともすれば、一つのプロモーションと仕事をすることで弊害が出て来る立場にあったと思うのですが。

「自分にはTribe TOKYO MMAというジムがあり、所属選手はUFCに行きたいという者、RIZINに出たい者がいました。自分自身もRIZINの手伝いをしていたので、全方位外交は心掛けていましたし。敵を作らずに進みたい先は選手が決めることだと。

だから、どこかに属して仕事をするというつもりはなかったです。以前、PXCに選手を紹介していたことがあって、マネージメントをしたり、航空券の発券の手伝いをしてもパーセンテージも取っていなかったですし。選手の経験になってくれれば良いという感じでした。

チャトリから日本でこういう風にやっていきたいから一緒にやらないかと言われた時も、ONEに出られる選手がいればそれは良いことだから、PXCの時と同じように手伝うことにしたんです。『お金は要らないから』とチャトリに伝え」

──まさに長南さんも業界の手弁当体質に染まっていたのですね。良い話ですが、それはそれで仕事にならないことに通じる問題でもあります。

「ハイ、本当にそうで。チャトリもその時に『それでは困る。そんなのは仕事じゃない。労力を使ったことには、対価が発生しないといけない』とすぐに言ってきたんです。日本の格闘技界で育った自分からすると、そういう発想は全くなかったです。

日本は全部ボランティアじゃないですかッ!! 自分はジムを生業にして生活にしているから、そういうこともできた。だからイベント業務でお金になるという発想がないほど、感覚が麻痺していたんですよね」

──そのウェットさの良い点もあるのですが、それが当然になっていたのも確かです。結果、長続きしないという冒頭の話に通じてきます。そこで長南さんは仕事としてONEと付き合うようになったわけですね。

「そうなった時に色々なことも言われました。『ONEは契約で選手を縛るけど、試合を組まないから悪質だ』とか」

──そこは2年前なら、間違った指摘でもなかったかと。

「そういう時期もありました。それも彼らが日本人選手の状況を理解しておらず、その説明を誰もしてこなかったからだと思います。そこで自分が手をつけようになったのは、契約選手を増やすことではなく、契約している選手に試合機会が与えられるようにすることでした。そこが最優先で。

それが成されてからでないと、新しい選手の紹介はできないということも伝えました。『だったら、お前の仕事は何だ?』という空気にもなったのですが、その時に自分が見て来た日本の格闘技界、そして選手の現状、興行のスタイルなどをリポートし、日本を知ってもらうことに努めたんです。

ONEは選手がチケットの手売りをして興行が成り立っているとか、日本の情報は何も知らなかったですから。そこで自分は全てを英文でレポートし提出しました」

──まず契約下にあった選手の試合機会が増えて行ったと。

「ONEも選手に試合を組まないと、どういう状況に陥るのか理解してくれたと思います。ただ、そんな時でも日本でビジネスを展開していくにあたって、チャトリでも『テレビ放送が欲しい』というような大きな話ありきだったんです」

──長南さんが現場の声を伝えることで、ONEの日本市場への介入方法も変わってきたのですね。

「そこは自分だけでなく、色々とサポート、アシストしてくれる人が増えたというのもあります。形から入らず、身の丈に合った状態から構築していけるようになりましたね。ただチャトリが凄いなと思うのは、身の丈で動く一方で、テレビの件だとか大事もやってしまうんですよ。

正直、この仕事をすると決めた時も自分自身はチャトリが言っているプランが現実になるのか半信半疑でした。それは自分に自信がなかったんですよね。日本の状況もありますし、自分で興行をやったことがあるからこそ、チャトリのような大きなビジネスをやり遂げる素質は自分にはないです」

──そこは役割分担ということではないでしょうか。

取材は昨年12月29日、格闘代理戦争3rdシーズン決勝の日に行われた。ケージ解体作業中の長南氏

取材は昨年12月29日、格闘代理戦争3rdシーズン決勝の日に行われた。ケージ解体作業中の長南氏

「自分は現場の人間です。人を育て、支えて、手伝う。そうしてくることでD-Netでの活動もそうですが、信頼だけは得ることはできました。そこがONEの仕事で生きています」

──ONEのイメージが付きすぎているという声も実際にあります。今ではOENの人だと。

「この間、ONE絡みで色々なモノを見てきました。そこでチャトリが悪者にされることとか、筋が違う──自分には許せないこともありました。この業界にチャトリのようなしっかりとしたビジネスマンが必要だと、自分は思っています。

これまでと違う……Abema TVの存在もそうですし、このような人たちが格闘技に関わってくれることは本当に有難いです」

──チャトリCEO、長南さん、そしてAbema TVの北野雄司プロデューサーの共通点は度を越しているところだと自分は思っています。そのような人達は色々と言われるでしょうが、逆に絶対的な信頼を得ることもできるのではないかと。

「そこで絆ができますよね。自分自身、何も分からなかった。どうなるのかなんて展望も描けていなかった状態でやってきて……。本当はD-NETもTTFCももっとやっていきたい。でも、手一杯で動けていない状況です。この状況だからこそ腹を括ってチャトリがやるなら、絶対に成功させる──その力にならないといけないと思っています」

<この項、続く>

【ONE86】ブルーノ・プッチと対戦、ドリアン仙人・朴光哲─01─「試合とドリアンはセットなんで」

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No Face【写真】とにかく笑顔が絶えない朴だった (C)TSP

19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE86 「Eternal Glory」に朴光哲が出場し、ブルーノ・プッチと対戦する。

一昨年12月にクリスチャン・リーのスラム気味のテイクダウンで敗れて以来、41才となった朴が左ヒザの前十字靭帯断絶という負傷を乗り越えてサークルケージに職場復帰する。

ヒザの負傷、リー・ファミリーの一員との再起戦前の心境を尋ねにKrazybeeを訪れたところ、朴の心は既にジャカルタ、ドリアンに飛んでいた。


──一昨年の12月以来、実に1年1カ月振りの試合となります。5月にハファエル・ヌネス戦を負傷欠場しました。どのような状況だったのでしょうか。

「試合の3週間ほど前、リオン武とのスパーリングでローキックをカットした時に、左の前十字靭帯が切れました。ただ、本当に薄皮1枚つながっているような状態で、いつ切れてもおかしくないという状況が5、6年続いていて、そのトドメをリオンに刺してもらった感じです。

あの時は試合前だったので、気持ちも落ちましたけど、手術をすればより良い状態になるのは分かっていたので、これもアップグレードに必要だったんだと思っています」

──41才で靭帯をやった。もう終わりではないかという声も実は届いていました。

「いやいやいや(笑)、今は医療も発達していますから。10年ぐらい前も8カ月ぐらいで競技ができるぐらいに戻って、今回は半年で競技復帰し、8カ月で試合ができますからね」

──あのGSPですら、ACLの手術前と手術後で動きが変わっていました。本当に大丈夫なのでしょうか。

「GSPのような人はきっと完璧な状態からケガをしたんですよ。自分の場合はもうユルユルだったので、本当にジャンプをしただけでグリっとなって腫れるとか。もう、それの繰り返しだったので、一度切れて手術でガッチリとくっつけてくれたので、相当調子が良いです。

再建手術って切れるまでできないのか、MMAファイターは切れるの待ちの人多いっスよ(笑)。今は高性能のサポーターをつけているような感じで、若返っています(笑)。

でも強くなるためにもう少し時間が欲しいです。若い時に怠けていた分、終わりが近づくと焦るタイプなので」

──練習はいつ頃から戻ることができていたのですか。

「2、3カ月はリハビリをして……それからですね。去年は郁さん(山本KID徳郁)が亡くなったり、色々なことが起こりましたけど、気持ちを切り替えてモチベーションも高いです」

──欠場している間、日本におけるONEの受け入れられ方が全く変わったように思われます。

「日本人のトップファイターがいっぱい集まって来て、『俺のポジション、なくねぇ?』みたいな(笑)。そういうのはありますね。もう日本大会も半分諦めたから、この1月のオファーも受けたし。

自分は試合とドリアンがセットなので、やっぱり南国で試合がしたいですよね。東南アジアで試合をして、ドリアンを食べて。それがライフスタイルになってきているんで(笑)」

──……。

「クリスチャン・リーに負けた後、高島さんから『ドリアンを食べて、満足しているから負けるんだ』って言われて(笑)。でも、俺から言わせてもらうと……これだけ禁欲生活をしているんだから、死ぬかもしれない前にドリアンぐらいは食べさせてよっていうのはあります」

──なら100歩譲って、ホテルの外で食べてください。朴選手がドリアンの虜になって以来、ホテルで『禁煙』並みに『禁ドリアン』というお達しがあるのを知りました。

「あの時、罰金くらいましたからね(笑)。ハウスキーピングの人が掃除中にゴミ箱にあったドリアンの種を見つけ、写真を撮って証拠にされて」

──フロア全体に充満にする臭気を思い出すと、当然ですよ(笑)。

「いや、もう今からジャカルタでドリアンが食べられることにワクワクしています(笑)。ジャカルタではこれまで1勝1敗で、悪いイメージはないです。問題は渋滞だけですね」

──確かにジャカルタの渋滞は酷いですが、対戦相手ブルーノ・プッチに関してはどのようなイメージを持っていますか。前回の負けはアンジェラ弟のクリスチャンで、今回はアンジェラ旦那のプッチとなりました。

「凄い因縁ですよね(笑)」

──クリスチャンとプッチ、タイプは違いますが朴選手と戦うために彼ら陣営は一度、研究をしているということがあります。

「まぁ、負けられない相手なのでかましたいです」

──打の朴選手、寝技のプッチという対戦ですが。

「テイクダウンは絶対にされたくないですが、されても流れのなかなのでしょうがない。しのいでスクランブルで粘ります。もう、そこに自信があるのかないのかとか分からないですけどね(苦笑)」

<この項、続く>

【ONE91】アンジェラ・リー、エディ・アルバレス&DJが公開練習。ファン参加のQ&Aとセミナーも!!

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49734921_610920846052423_5315007387256487936_n【写真】公開練習はアルバレス、DJ、そしてアンジェラと接することができる絶好の機会だ (C)ONE

9日(水)、ONE Championshipより3月31日(日)に東京都墨田区の両国国技館で開催されるONE91「A New Era」に向け、21日(月)に大田区のゴールジム・サウス東京アネックスにおいて、アンジェラ・リー、エディ・アルバレス、デメトリウス・ジョンソンの来日3選手の公開練習が行われることが発表された。


同大会でONE世界女子ストロー級王者シィォン・ヂィンナンに挑戦する女子アトム級王者アンジェラ、ライト級ワールドGPでティモフィ・ナシューヒンと対戦するアルバレス、そして日本の若松佑弥とフライ級ワールドGPで戦うJDの3名は公開練習だけでなく、ファンも参加できるセミナーや、Q & Aを行うという。

これらのファンとの触れ合いは19時よりスタートし、21時半終了が予定されている。セミナーは参加と見学の両方が可能で、ONE関係者からは「セミナー希望のファンの方は、スポーツウェア及び軽装をお持ちすることをお勧めします」という一言も。

ONE世界王者と2人の元UFC世界王者に加え、若松と青木真也もスペシャルゲストとして同日は参加予定だ。身近に世界と日本のトップファイターと肌を触れ合い、言葉を交わす絶好の機会。ファンの参加は300名ほどが可能で、こちらのフォームより事前受付が必要となっている。

■ONE91発表対戦カード

<ONE世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
[挑戦者]青木真也(日本)

<ONE世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]シィォン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]アンジェラ・リー(米国)

<ONE世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン (米国)
[挑戦者]長谷川賢(日本)

<ONEフライ級ワールドGP 1回戦/5分3R>
デメトリウス・ジョンソン(米国)
若松佑弥(日本)

<ONEライト級ワールドGP 1回戦/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)

<キック・ライト級/3分3R>
ヨーセングライ・IWE・フェアテックス(タイ)
アンディ・サワー(オランダ)


【ONE】躍進ONEの裏に、長南亮あり─02─「日本の格闘技界が10年後に全然違う景色が見られるように」

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Ryo Chonan【写真】とにかくやり切るだけだという気概が長南氏からは伝わって来る(C)KEISUKE TAKAZAWA

ONE Championshipと日本の結びつけるために、活動してきた長南亮氏インタビュー後編。

過去2年のONEとの関係により、強固となったチャトリ・シットヨートンCEO兼会長の絆。ONEの日本定着の先に長南氏が見ている日本の格闘技界の未来とは。

<長南亮インタビューPart.01はコチラから>


──それほどまでチャトリCEOに惚れ抜いたわけですね。

「そうですね。ただし、チャトリの想いや行動力はまだ一般のファンに届いていないです。自分はこれから始まるモノだと思っています。だからこそ今、ONEと契約している選手たちは頑張って、結果を残して、将来を切り開き、夢を掴んでいって欲しいです」

──日本大会のカード第1弾の発表に際して、MMAPLANETのツイッターのリツイートで『今の日本にここまでやってくれる。ファンも頑張らないといけない』と書いてくれた方がいてくれて。これが本当に嬉しかったです。

「あぁ、それは嬉しいですね。自分がやっていることにも、考えの違う人間が色々と絡んでくるんですが、そういう人達とは別に新しいファンを増やさないといけないですし、古くからのファンが熱を持ってくれるようにしていかなければならないです。

だからこそ、本当に頑張らないといけないのは選手たちなんですよ。ここから先は。練習の強さだったら、日本人選手は負けてない。でも、あの舞台に上がると負けてしまう。下石(康太)君なんて、絶対にあんなもんじゃない。ケガとか不幸も重なったけど力を出し切れていない」

──『あれ、日本人勝てないの?』という空気になっているのも事実です。

「ほんの少し前まで『フィリピン人なんて寝技になったら、何もできない』って言っていたのに、今ではやられるようになってしまった。でも、実力では負けていないんですよ。だから自分も日本の新しい力を見つけて、そういう選手達にONEで戦ってもらいたいと思ってやっています。

今は海外で試合をすることの方が多いですが、日本大会が頻繁にできるようになるまで新しいファンを開拓していく。そこが理想です」

──そうすることで日本の格闘技を再興させたいと?

「本当は我々がやらないといけなかったこと。それをチャトリのようなパワーと情熱を持った人間がやろうとしてくれているんです」

──マニラで長南さんやチャトリCEO、北野プロデューサー、チームMADの面々と食事をさせていただいた時、長南さんのバイタリティに触れることができました。多少のランゲージバリアーがあっても情熱で凌駕していくような。チャトリCEOも日本語を駆使しつつ、通訳を必要としないで意思疎通を行なう。これだな、と。

「何も話せない時にアメリカに行って、練習してきましたからね。その英語も毎週、英会話教室で勉強して新しい言葉を覚えて……それでも最初は英語のやりとりで契約を纏めるとか苦労していました。それが今では6人同時に交渉できるようになってきて(笑)。

ただし、自分はブッキング・マネージャーではないので。誰でも引っ張って、たくさん貰えや──というつもりはありません。ONEというのは今では自分の親でもありますし、周囲とバランスを取るなかで、正当な評価を日本人選手がしてもらえるように交渉をしているので。そういうところで話すと、『だからもう少し、アップしてほしい』という要求にONEも応えてくれるんですよね」

──まず3月の東京大会がありますが、そこはあくまでもONEと日本の関係のスタートです。それ以降はどのようなヴィジョンを持たれていますか。

「自分にはミットを持って、選手を教えるという立場があります。そこにONEでの日本人選手たちの窓口というポジションもできました。

コーチとしての歩みは一度も止めていない。技を研究して、セコンドとして叫び続けます。ONEの人間としては、イベントを成功させること。何はともあれ日本大会を成功させる。それは他人事ではないです。自分たちの力で成功させて、説得力を増していきたいです。

日本の格闘技界が10年後に全然違う景色が見られるようにしたい。そのために毎大会、全力を尽くす。自分らの世代が隠居生活に入ろうかという時に、若い選手が格闘技一本で食っていける社会にしたいです」

──そこが目標だということですね。

「実際、今でも食っていける選手はいますが、もっと増やしたいです。と同時にONEも投資段階なので、キャッシュバックできるようにしないといけない。それこそがチャトリが最初に言ってくれたビジネスということなので」

──チャトリCEOは日本の格闘技の復興とともに、日本の市場、インド市場、チャイナ・マーケットというモノを睨んでいるわけですしね。

「ハイ、その通りです」

──この2年間の付き合いで、チャトリCEOの魅力はどこにあると感じていますか。

「やはり力です。信じる力、自分自身を信じる力を感じます。自分も自信がないわけではないですが、チャトリのように真っ直ぐできるのかというと、やはりビビります。それをチャトリは全て容赦なくいくじゃないですか(笑)」

──ハイ。確かに(笑)。

「凄いパワーだと思います。とにかく、まずは3月の東京大会です。8月に日本大会を開催すると発表した時も、その前も否定的な意見はいくらでも耳にしました。でも、あの本気の対戦カードで風向きを変えることができたと思います。だからこそ、自分も指導者として責任もありますし、日本人選手達の頑張りが必要になります。

そして……ONEはチャトリが主役ではなく。あくまでも戦い、選手が主役ですから。選手達が頑張れる環境を創るという部分で、良い道ができつつあると思います」

※1月21日にエディ・アルバレス、デメトリウス・ジョンソン、アンジェラ・リーが行う公開練習、セミナー及びQ&Aの参加申し込みはコチラから

【ONE86】ブルーノ・プッチと対戦、ドリアン賢人・朴光哲─02─「良いバイブスは出ていますよ」

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Kotetsu Boku【写真】語調はいつもと変わりないが、この試合に賭ける想いは一入のはずだ(C)TSP

19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE86 「Eternal Glory」でブルーノ・プッチと対戦する朴光哲インタビュー後編。

ドリアンが食べたい余りに、東京よりも東南アジアで試合がしたいというベテランは、昨年2度に渡り格闘代理戦争で若い選手の面倒を見て来た。

変わりゆく日本のMMA界の栄枯盛衰を見て来た朴に、若い選手のMMAへの取り組み方について話を訊いた。理解をする一方で、その先にある至極の世界の存在──朴光哲だからこそ、説得力のある話を訊くことができた。

<朴光哲インタビューPart.01はコチラから>


──朴選手には寝技での不安感が拭えなくて(笑)。

「いやいやいや(笑)、そんなことないですよ。また、アレでしょ、村濱天晴戦のヒザ十字のことでしょ? あんなのもう干支が一回り半したぐらい昔の話じゃないですか(笑)。それより、1年以上時間が空いたことでモチベーションもクリエイティブさも戻りますね。今は一番ビンビンです」

──ビンビンですか(笑)。

「ビンビンですよ、試合に向けて(笑)」

──1年以上試合をしていなかったのですが、格闘技代理戦争というモノがあって、ずっとアクティブだったような印象があります。

「やっぱし、人に教えるということで自分もまた技術の確認ができましたよね。結局ね、自分でやった方が手っ取り早い。僕は幸い現役なんで、『これとこれをやれば勝てるのに』って思った時に『アッ、俺コレやろう』となり、そういう意味でもモチベーションになるッスよね」

──その一方で、『コイツら、勘違いして格闘技舐めちゃいますよ』と言っていたことは印象に残っています。

「僕はあんまり舐めていると思っていないですけど(笑)。温度差というか……MMAは時間が掛かるので、番組的なサイクルでは彼らの成長は収まらないというのはあるかと思います。

MMAは5年、10年というサイクルなので。もちろん、それが分かっているから、あのマンガ的な構成になっちゃいますよね。でも、本来のMMAはそんなモンじゃないんです。ワンクール、3カ月の修行で地獄を見て生まれ変われるモノじゃない、やっぱし。細かい作業の連続のなかで、山あり谷ありがってMMAは成り立っているから、根本としてやる奴の覚悟が問われる。だからこそ、時間は必要になるんで」

──その覚悟のある若い人が、MMAに目を向けるきっかけにはなりませんか。

「そうっスね。それはなります。それとああいうのがあって、挫折は早い方が良いっていうのもあります。学生の間って決めている子が、ああいうチャンスに賭けるとか、今年でチャンピオンになれないと辞めるとか、それを決めるのもありっスよね。

そうじゃないと、僕みたいにダラダラダラダラ続けちゃうから(笑)。だから期間を決めてやるのも良いかと……でも、長くやっているとね、その短い時間で答を出すのは『早くねぇ?』とは思っちゃいます。いくらでも時間が許すんだったら、覚悟があれば上にはいけるので」

──朴選手が成長過程にあった時は、格闘技も良い時代だったので続けようと思う選手が多かったかもしれないです。

「まぁ、時間はありましたよね。大石(真丈)さんが、今も続けているぐらいですからね。そういう時間軸で見ると、全然違う世界が見えて来るのにな──とは思います。ただ、そこを頭ごなしに今の若い子に言えないですよね。短いサイクルのなかで、爆発的に努力して上を目指すのも方法論として間違っていないし」

──クリスチャン・リーは19歳で、あそこまできました。

「クリスチャンまでなると、それは話が違います(笑)。そもそもMMAの観念が違うから。青木君も言っていたけど、我々の場合は打撃、レスリング、寝技を分解して捉えちゃうけど、彼にはない。触るところから、絞めるところまでぶつ切りになることなく、イメージできているんです。

あの世代のテンポに合わせられるようになるまで、少し時間は掛かります。MMAのテンポが、全然違いますからね」

──話を次の試合に戻すと、プッチはそういうテンポではないです。

「まぁ、我々よりのファイターです」

──今日は特別なのか朴選手の肌艶が良くて、それほど年を重ねているようには感じられないですね。

「良いでしょ?(笑)。良いバイブスは出ていますよ。特別な練習はしていないけど。ONEでずっとやってきて……凄い時代になったと思います。『ONE??』って時代から、『ONE!!』っていう時代になっていますかららね。

Abemaがライブでやってくれて。それは選手にとって凄いプロモーションですよ。で、テレ東も決まった。こんなに人に見てもらうチャンスはなかった。そこで自分をどれだけアピールできるのか。脳みそのなかの動きを、実際に体を動かしてできるのか。

それができたら、アイツ良いんじゃないって思われるようにこの波に乗っていけると思います。逆にクソみたいな試合をして、負けると終わりだけど」

──それにしても血色が良くて、表情もにこやかな朴選手でした。

「もうドリアンが食えるのと、ファイトマネーが入って来るから生活を落ち着くなっていう(笑)。奥さんも一緒に頑張ってくれているので、まぁやってきますよ」

【ONE88】中原由貴、デカゴンからサークルケージへ。ステルス=上久保、悲運=竹中もバンコクに集結!!

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Yoshiki Nakahara【写真】ついに中原が海外進出の機会を得た。対戦相手はタイガームタイのウルティアだ(C)MMAPLANET

10日(水・現地時間)、2月16日(土・同)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで行われるONE88「Clash of Legends」の追加カードが発表され、初出場となる中原由貴を含む、日本勢3選手の参戦が明らかとなっている。


メインのONEスーパーシリーズ世界ムエタイ・バンタム級王座決定戦ノンオー・ガイヤーンハーダオ✖ハン・ズーハオに続き、今回発表されたのは7試合。2試合が立ち技マッチで、残り5試合のMMAにおいて3試合が日本人が出場し、3月の日本大会に向けてジャパニーズONEアスリートの占有率が高くなっていることが伺える。

ついに海外進出が決まったパンクラス・フェザー級戦線の実力者・中原は柔道ベースながら破壊力のある打撃を武器に、デカゴンでは7連勝中という状況で10角形からサークルケージに戦場を移すことになる。

Emilio Urrutia一昨年10月に田中半蔵を破って以来、本格的に海外進出を模索してきたが、なかなかタイミングが合わず、ようやく今回のONE出場が叶った形だ。そんな中原と対戦するエミリオ・ウルティアは11勝6敗、タイはプーケットのタイガー・ムエタイに所属するファイターだ。フルメタル・ドージョー、クンルン・ファイト、台湾のプロFC、武林風、さらにはPXCとアジア太平洋でキャリアを積んできた異色のキャリアの持ち主は、ONEでは2勝2敗ながら19日のジャカルタ大会で朴光哲と戦うブルーノ・プッチに勝利している。

昨年10月のミャンマー大会で徳留一樹と対戦予定だったウルティアだが、これを負傷欠場し今回の中原戦に臨むこととなった。中原としてはフィジカル、思わぬところから放たれるパンチには注意を払いたい決して侮れない対戦相手といえるだろう。

この他、ONEで2連勝中の若き暴走ステルスこと、上久保周哉がキム・デフォンというキャリア最強の相手とのマッチアップが決まり、2018年J-MMA界最悲運賞といっても過言でない竹中大地の1年振りの実戦も決まった。

Daichi Takenaka上久保と戦うキム・デフォン戦の一本勝ち直前の反則勝ち以来、2度に渡って現地入りしてから試合が流れた竹中の相手はマーク・フェアテックス・アベラルドだ。タイのパタヤ在住のキウイ(ニュージーランド人)、アベラルドはPXCからクンルンを経て、ONEウォリアーズ・シリーズで連勝し本戦出場を果たした。

とはいっても王座を狙うべくONEで戦っている竹中にとって、絶対的に躓いてはいられない相手。しっかりとウィナー・コールを受け、その実力を世に示したい。

【ONE86】世界ストロー級王者パシオに挑戦、猿田洋祐─01─「シウバ戦直前に、セコンドと喧嘩しました」

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Saruta【写真】本当にファイターとは不思議な生き物。一つの勝利で顔つきが劇的に変わって来る。まさに今の猿田がそうだ (C)MMAPLAET

19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE86 「Eternal Glory」で、猿田洋祐がジョシュア・パシオの持つONE世界ストロー級王座に挑戦する。

そんな猿田の1日をAmeba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。

昨年12月7日のクアラルンプール大会で、2週間前のオファーを受け元同級世界王者アレックス・シウバと対戦し見事な判定勝ちをした猿田。今回も鈴木隼人の欠場を受けての世界王座挑戦となった。

一気に動き始めた猿田のMMAファイター人生、大一番を前に心境を訊いた。そして、この機会が巡ってくる最大の要因となったシウバ戦の前にセコンドと仲間割れするという驚きの事態に陥っていたことが明らかになった。


──急遽ONE出場に続き、急遽タイトル挑戦。劇的なまでに急転直下という状況が続いています。

「本当に田丸(匠)選手、ありがとう……と言う感じです。あの後ろ回し蹴りを食らったことで負というか、悪いところが全部出たような感じです。あの試合も自分の動きができなくて負けたわけではないので。アレがあったから今があると思います」

──あの敗北をきっかけに、それまでやってきたことが上手く噛み合うようになったのかもしれないですね。

「ハイ、自分を見つめ直して。また一からやり直しているタイミングで試合のオファーが来て。そこで勝って、次がまたあるというような感じです」

──アレックス・シウバ戦を改めて振り返ってもらえますか。過去最高の結末に持っていけました。

「2週間前に決まった試合で、その限られた期間で準備したなかで一番の試合ができました。もう少し時間があれば、もっと良い試合ができたと思います」

──そこも勝負の妙で、2カ月あればアレックス・シウバも猿田選手のことをより研究していたかもしれないですし。実際に作戦はどのようなモノだったのでしょうか。

「abema TVを視てくれた人は知っていると思いますが、もっとボディを打てばと皆に言われます(苦笑)。ボディは狙っていたのですが……。実は体調面では、これまでで一番悪かったです」

──えッ? そうなのですか。気持ちと体にギャップがあったということでしょうか。

「ハイ。直前まで焦りがありました。体重も戻らなくて……いつも通りやろうと思ってリカバリー食も持っていっていたのですが、メンタル的なモノなのか戻りませんでした。その不安もあって、試合直前にセコンドと喧嘩をしました(苦笑)」

──セコンドと喧嘩? クアラルンプールへどなたと一緒に?

「魚井さんです」

──魚井フルスイング選手と……。なぜ、喧嘩に?  1月27日に修斗で藤井伸樹選手と戦うPRを兼ねてお願いします(笑)。

「アハハ、自分の世界戦の1週間後に試合がある魚井フルスイングという選手に、マレーシアではサポートしてもらっていたのですが……。ホント、当日の試合直前ですよ、控室でアップを始めて。魚井さんとカウンターを合わせる、あるいはテイクダウンに入るという打ち込みをしていたんです。

でも上手くいかなくて。切れが悪く、タイミングも合わない。いつも通りにいかない。パンチを被弾しないようにだとか、ダメージを受けずに上手くやろうとし過ぎていたんです」

──ハイ。

「で、これはダメだなって思い魚井さんに『右フックを打って』と頼みました。シウバは右フックが得意だったので、そこに合わせようと思っていたので。一発殴ってもらって、スイッチを入れようと……それを魚井さんに言っていなかったのですが、やっぱり魚井さんは当てずにパンチを止めたんです」

──そこはそうしますよね。

「自分のなかで殴られようと思っていたのに、殴られなかったのでブチっと来てしまって。それで『お前、ふざけんなよ』みたいになって(苦笑)」

──それは……。

「アハハハ。それで魚井さんも切れてしまって」

──魚井選手は完全にとばっちりを受けたわけですが、それでも試合直前の選手に切れるというのも……どっちもどっちですねぇ(笑)。

「まぁ、抑えましたけどね(笑)」

魚井 完全に八つ当たりですよ。こうやって自分をベビーフェイスにしようとしていますが、丸っきり八つ当たりです。

「アハハハハ」

魚井 もう、おかしくなっていたんですよ。

「それも自分の中では分かっていたんです。でも、それぐらいしないとダメだと思って」

──それが大沢さんなら、もうジムに居られなくなっていましたね。

「いや、大沢さんだったら自分の気持ちを分かってくれるので」

──う~ん、さらに魚井選手が気の毒になる一言ですね(笑)。

「そうですね……。あとで、ちゃんと謝りました」

──そういう遺恨があるのか、今日の練習でもスクランブルの攻防で魚井選手の顔面にヒザをいれていくなど、スリリングなスパーリングが見られたわけですね(笑)。

魚井 アレって思いましたよ(笑)。ONEでは有効でも、修斗では反則だし。それで『おお、良いよぉ』とか声が掛かっていると……『えッ?!』って(苦笑)。

「心を許しているからなんですけど、試合と練習を変えたくないというか。しっかり当てないので、形を変えないという意識を持って打撃の練習にも組み技の練習にも取り組んでいます。もう試合まで1カ月を切っているので」

──ということで魚井選手には気を静めて頂き、世界戦の話へ。当初、鈴木隼人選手が挑戦予定の試合でした。

「オファーがあった時は、どういう理由で欠場になったか分かっていなかったですし、そこには何の感情もなく『チャンスが来たぞ』と思いました」

──またスクランブルかという想いは?

「今回は1カ月あると。前回が2週間だったので、倍あるぞとポジティブに捉えることができていましたね」

<この項、続く>

【ONE86】世界ストロー級王者パシオに挑戦、猿田洋祐─02─「田丸を克服できたのか、それが次の試合」

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Yosuke Saruta【写真】がぶりからのヒザ。ここが勝負の焦点になるかもしれない。がぶりは相手の組みに対してだけでなく、猿田の攻撃からも使える(C)MMAPLAET

1月19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE86 「Eternal Glory」で、ジョシュア・パシオの持つONE世界ストロー級王座に挑戦する猿田洋祐インタビューPart.01。

猿田の1日をAmeba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追うなか、猿田に世界挑戦の話を訊くと、12月のアレックス・シウバ戦前にHEARTSの同門である魚井フルスイングとひと悶着があったことが明らかになった。

そのシウバ戦の勝利で、世界王座への挑戦権を手にした猿田にパシオ対策を訊くなか、再び魚井の怒りがぶり返してきた。

<猿田洋祐インタビューPart.01はコチラから>


──2週間前のオファーだったシウバ戦は3Rでした。今回は準備期間は倍ありますが、世界戦のラウンド数は5Rです。そしてパシオはもともと5Rの練習を積んでいます。

「前の試合が終わってから1週間もおかず、練習を再開していたので問題ないです。3Rの試合の時でも、自分は5Rをイメージしてスタミナなど準備してきたので。逆に5Rの方が得意です。5Rってキツイですけど、キツイところで勝負したいんですよ」

──ここ半年の試合を振り返るだけでも、パシオの所属するチーム・ラカイのファイターは5Rで勝つスペシャリストのような集団となっています。

「ラカイのことは詳しく分からないです。みんな、チャンピオンで打撃、ああいう関節蹴りとか変則的な蹴りを使うというぐらいで。でも、これは全部つながっていますよ。田丸戦で後ろ回し蹴りで負けたのも」

──おお、そういう風に捉えることができるのですね。

「田丸を克服できたのか、それが次の試合です。田丸戦の負けは僕のなかに残っています。後ろ回し蹴りでKO負けしたことが経験になっている。次は大丈夫です」

──力強い言葉です。パシオのペースにさせないためにも、重要になって来るポイントはどこになるでしょうか。

「打撃が得意な相手なので、そこで逆にアドバンテージを取って後手に回らせたいです。彼らのスタイルで戦わせないように戦って、最終的に組みに持っていく」

──あの印象点稼ぎの回転系の蹴りなどは、ポイントを頭にいれると厄介かと。

「盛り上がりますからね、あの派手な動きで会場も」

──パシオを研究するうえで最もチェックした試合は誰との戦いでしたか。

「やはり、のび太戦ですね。一番最近の2度目の方です。初回にオーソ同士なのに、パシオが右のミドルを効かせました。右を蹴るんだなと思いましたね。そういうセオリーでない動きをするところは注意が必要ですし、1Rと2Rはスピードも速い。それでも2R終盤から3Rになるとスピードもパワーも落ちます。

そこでしっかりと殴る、ポジションを取ることができればと思います」

──のび太選手がそうできなかったのか、パシオがさせなかったのか。

「自分の寝技とのび太選手の寝技は違うので、自分の方がハマるんじゃないかというのはあります」

──テイクダウンを防ぐよりも、下になった時の対応の方を研究していたようにも感じました。そうなると猿田選手の狙いはどこになるでしょうか。

「それが練習でやっていた攻防ですね。がぶりの攻防、ONEでしか許されていない寝技のヒザだとか使っていきたいです」

──もちろん、猿田選手自身もその攻撃を受ける可能性はあるのですが、ONEの方が修斗の採用するユニファイドMMAに準じたルールでの戦いより得意そうに見えました。

「そうですよね、上手く戦えました。立ち際のヒザ蹴りなんかも自然と出すことができたので……合っていますよね」

──ところで話をぶり返してしまいますが、試合直前にセコンドの魚井フルスイング選手と喧嘩になるような精神状態だった。そこをファイトに集中できるようになったのは、どの時点だったのでしょうか。

「喧嘩した直後にトイレに頭を冷やしに行って、そこでスッキリしました(笑)」

──トイレは、そのようなスッキリな仕方もあるのですね(笑)。

「試合の10分ぐらい前です。お互いに顔を突き合わせて、『おい、やんのか』みたいな雰囲気になっていて。アハハハ」

──控室なのだから、これから試合をする選手もいただろうし。もう前代未聞ですよね。

魚井 赤コーナーの控室にいる色んな人が『大丈夫?』っていう空気になっていました(笑)。『どないしたん?』みたいな。

「ムエタイのスーパースターとかが、ビックリしちゃって。迷惑かけてしまいました(笑)」

魚井 喧嘩じゃなくて、八つ当たりですから。だって控室について荷物を置いていたら『広げないで!!』って。そっからですよ。

「アハハハハハ」

魚井 横でね、タイ人が爆音でスマホを聞きながら寝転がっていることは文句言わへんで。俺がちょっとトランクスを置いといたら、『ちゃんとしまって』とか言うてくるし。

「そりゃあ、他の選手には文句は言えないですよ」

魚井 ホテルから会場に向かう直前に、バナナが要るっていうから急いで買いに行って。で、控室についたらバナナと水が山盛り用意されてて。

「なんかバナナがしっかりと用意されていたんですよね(笑)」

魚井 そうしたら、こっちが買うてきたバナナには全然口つけへんで。

<この項、そして魚井フルスイングの憤りの言葉は続きます>

【ONE WS04】夫婦でONE出場へ、桐生改め鈴木祐子が2月28日にONEウォリアー・シリーズ参戦

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Suzuki, Miyata, Ashida【写真】2月28日のONE WS04参戦が決まった鈴木裕子、宮田和幸Brave代表、そして3月10日のBrave Fight18に出場する芦田崇宏(C) MMAPLANET

14日(月)、東京都渋谷区のTokyo Fight Club Bar&Show Restaurantで行われたBrave Fight18 & Grachan39の記者会見に引き続き、桐生祐子改め鈴木祐子がONE Warrior Series参戦の発表をし、意気込みを語った。


「ご存じかと思いますが、旦那の鈴木隼人がONEチャンピオンシップに出場していまして、大会にはセコンドとして同行しており、私もONEチャンピオンシップのリングに立ちたいと思うようになりました。そこで、出たいということを伝え、『まずONEウォリアー・シリーズに挑戦してみないか』とチャンスを貰え、2月28日のシンガポール大会に出場することになりました」と鈴木は抱負を語った。

ONEウォリアー・シリーズとはONEチャンピオンシップの育成大会であり、系列会社として活動し代表はリッチ・フランクリンが務めている。アジア各国でトライアウトを行ない、フランクリン自身が選んだ選手がONE出場を賭けて戦う舞台だ。

昨年は3度開かれ、今年は6イベントが予定されている。その第一弾に出場が決まった鈴木は、質疑応答のなかでONEを目指す理由を「JEWLESに出場させてもらってチャンピオンベルトを取ることができればと思っていたのですが、大きな大会にセコンドで行かせてもらってあの舞台にいつか立ちたいという想いが優ってきました。鈴木隼人と同じ舞台に立ちたいと思うようになりました」と話した。

対戦相手はONEからの正式発表を待つ形となるが、これまでウォリアー・シリーズでは韓国、モンゴル、フィリピン、マレーシア、タイなどアジア圏だけでなく、タイガー・ムエタイの所属の豪州、スペイン人女子選手が出場してきた。果たして、鈴木とONE出場を賭けて戦う選手は誰になるのか発表が待たれる。

同会見会場に姿を見せていた鈴木隼人は、「必ずONEに戻ります」と力強く語っていた。ONE復帰の道を探り、夢の夫婦同時出場を実現させてほしいものだ。

【ONE86】パシオに挑戦、猿田洋祐─03─「MMAってすぐにできるモノじゃない。そこを見せたい」

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Yosuke Saruta【写真】パシオとの世界戦は猿田の10年が詰まっている (C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE86 「Eternal Glory」で、ジョシュア・パシオの持つONE世界ストロー級王座に挑戦する猿田洋祐インタビュー最終回。

猿田の1日をAmeba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追うなか、猿田と魚井フルスイングの遺恨という裏話が聞かれた。

魚井にうっぷんを晴らしてもらったうえで、タイトル奪取に賭ける決意のほどを訊いた。

ゆっくりと過去のできごとを振り返る猿田。その一言、一言を噛みしめるような口調から、如何に彼の闘志が漲っているのか伝わってきた。

<猿田洋祐インタビューPart.02はコチラから>


──アハハハハ。

魚井 いや、笑えないっスよ。実際、あの場にいると。

「謝ったじゃないですか」

魚井 僕があそこで踏み止まった理由が2つあるんです。『後で謝るからさ。死ぬとき、後悔したくないからさ』って真剣に言ってきたので。クソッ、ちゃんとしてるやんと思って(笑)。

もう一つは猿田の嫁さんもマレーシアまで来ていたのに、あそこで怒ってセコンドをブッチしてグダグタな試合になったら、嫁に刺されるなって。だからなんですよ。

──雨降って地固まりましたか(笑)。

「そうですね(笑)」

──2週間前というコトも含め、クアラルンプールでそこまでのことを経験していたら、もう何が起ころうともという感じになるのでは?

「メンタルの面をあの状況で創ることができたのは自信にはなりましたが、それでも精神的に余裕はないです。まだタイトルマッチが決まっただけなので。勝たないと、何もならないですからね」

──さきほどクアラルンプールには奥様が応援に駆け付けていたと魚井選手の発言でありました。今回は?

「ハイ、今回も来てくれます。実は年末に新婚旅行を予定していたんです。4月に決めていたことで、12月のアレックス・シウバ戦に勝てて『無事行けるね』って言っていたら、すぐに世界戦が決まって」

──つまり新婚旅行は……。

「キャンセルしました。なので絶対に負けられないです」

──ちなみにどこに行かれる予定だったのですか。

「シンガポールです(笑)」

──アハハハ。ぜひとも世界王者になって足を延ばしてください。改めてですが、パシオが相手だからこそ見せないといけないところなどありますか。

「まぁ経験だったり、地力が違うところは見せたいです。パシオ選手って若いし、まだ経験値も少ないじゃないですか。MMAってそんなにすぐにできるモノじゃない。たくさんやることがあるので、時間も掛かります。試合をこなしながら経験を積むことが自分のなかでは大きいので、そういうところを見せたいです」

──戦局的にいえば先ほども言われていた後ろ回し蹴りですが、あのような力とスピードのある技で入れなくなる選手も少なからずいました。逆にパシオが入れるようになり、優位な展開に持ち込みます。

Saruta vs Suzuki「今、対策練習をしていますし自信はあります。大切なのは怖がらないという気持ちですから。そこが一番重要だと思います。

もうデビューして10年経ちました。色々なことがありました。修斗でデビューして、新人王を取って。ケガもたくさんして。トータルすれば3年ぐらいリハビリ生活をしました。

そのなかで諦めずにやってきて。1階級上でしたがタイトルマッチを2度戦い、1回目はドローで2回目は判定で負けてしまいました。

Saruta vs Sawada一旦、修斗を離れて他団体やVJTも出させてもらいながら、もう一度修斗に戻って。階級を落として、ストロー級で世界チャンピオンになって。そこからフライ級という──取れなかったベルトを取りに行こうと。でも田丸戦で上手くいかずダメでした。

そこがきっかけで初心に返って、最初からやり直そうというときにチャンスが来た。全て繋がっています。色々なことがありましたけど、次に勝たないと今までのことは報われないと思うので……。

修斗のチャンピオンではまだまだ足りないです。ONEでチャンピオンになって、しっかりと稼いで周りの人、チームや奧さんだったりに喜んでもらえるような選手になりたいです。

世界で認められる──日本、HEARTSには猿田という選手がいるということを分かってもらうために勝ちたいと思います」

──だからこそ技術面云々だけなく、人生という部分でも経験の違いをパシオに見せたいですか。

「フィリピンも大変な状況だと思うのですが、自分だって夜勤やって昼間に練習してとか、色々なことをやってきたので。家族を養いながら、自分の練習をしてきました。そういう面でも絶対に負けないし、繰り返しになりますが気持ちで負けないことですよね。

過去を思い返すと、今は恵まれているので……絶対に勝ちます」


【ONE86】負けられない一戦=ラスル・ヤキャエフと戦う安藤晃司─01─「感覚の違いに戸惑わない」

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Koji Ando【写真】感覚のズレがあることを承知でケージに入るいう安藤 (C)MMAPLAET

19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE86 「Eternal Glory」で、安藤晃司がラスル・ヤキャエフと対戦する。

Legend FCライト級王者からONEに転じ、青木真也の持つONE世界ライト級王座に挑戦し、ロジャー・フエルタにも勝利した実力者は、それ以降3連敗で苦しんでいる。この間、自らのジム=ネバークイットのオープン、母の死もあり年に1度という試合間隔が続いた。

勝負勘にズレが生じたようにも見えた昨年6月のエブ・ティン戦以来、7カ月振りにサークルケイジに立つ安藤にその心境を尋ねた。


──ラスル・ヤキャエフ戦が迫ってきた安藤選手です。もうジャカルタに入られているのですが、順調に試合を迎えられそうですか。

「ハイ、ジャカルタはロジャー・フエルタ戦以来で、前とはホテルも違いますけど東南アジアのなかでディープな感じはしています(笑)。マカオとか楽な場所が続いていたのですが、やりにくいとまでは思わないです。ホテルにはジムがあって、リングとサンドバッグが置いてありますし、そういう意味では良い環境です。わざと空調をきかせないでいるのか、ホテル内もけっこう暑いんですよ」

──空調が聞いていない? それは珍しいですね。

「もちろん日本より暑いですけど、雨期というのもあって強い日差しはないですし、気温もそれほど高くはないです」

──今回のヤキャエフ戦は、ジム運営や指導などの影響があろうがファイターとして本当に落とせない1戦かと思います。

「もちろん勝たないといけない。それが一番です。ジムをやっていようが、僕が試合に出ている以上は言い訳にできないですし。しっかりと結果を出さないといけない。ONEのファイターとして、そういう気持ちです。

ここ3試合、競った試合で勝てていなくて……。でも実力で負けているとは思っていないです。取れる試合も落としているという気もしています。なので、そこをしっかりと見つめてやってきました」

──エブ・ティン戦では試合間隔の長さの影響があったようにも見えました。あのヒザを貰ったことも含めて。

「最後にヒザをもらったことは最終的な敗因になりましたが、立ち上がりから自分自身でも感覚の違いというか、違和感があったんですよね。これではダメだと思い、2Rからは強引に変えて盛り返すことができたのですが、結局はその強引さがヒザを受けたことに通じていると思います。

相手との距離も考えずに攻めていったので、ああいう攻撃を被弾したのでしょうね」

──安藤選手は強いプレッシャーを与え、相手に攻撃をさせないのが持ち味でした。

「それができないので、強引でも何とかしようと思って……。さらに圧力を強くしたのですが、歯車が合っていなかったです。自分の攻撃を当てるために、相手の攻撃も受ける位置で戦っていて。だだから今回の試合では、もう歯車が合わないことを前提に戦おうと思っています。

自分の力が落ちている、落ちていないというよりも感覚が変わってくるので。その感覚の違いに戸惑わないようにして戦いたいです」

──前回の負けから練習内容など変更した部分はありますか。

「練習をしていて自分が落ちているとは感じていなかったのですが、自分の動きを客観的に見ることが必要だと思い、スパーリングを動画に撮ってチェックするようになりました。調子が良い時の動き、疲れてからの動きを見て、自分にできることとできないことを把握しようと思ってやってきました。

僕は派手なKOができるファイターじゃないですし、そこを狙うのも違う。距離を意識して練習して、それを動画で確認する。打撃でも寝技でも派手な勝ち方ができる選手ではない。プロセスを一つ飛ばしてフィニッシュできるタイプではないので、一つ一つ丁寧に動いて自分の形を創る。そうすることで試合を支配できるようになる。だからこそ集中して戦う必要があります」

【ONE91】オンラ・ンサンとの再戦を前にNY行きを決めた長谷川賢─01─「自分の図太さを信じて」

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Ken Hasegawa【写真】思い切った決断をした長谷川。NYで揉まれことで、ファイターとしてももう一段階ステップアップを図る (C)MMAPLAET

「NYへ行って、8週間練習することになりました」。長谷川賢からそのようなメッセージを受け取った。3月31日、東京都墨田区の両国国技館で開催されるONE91「A New Era」でオンラ・ンサンの持つONE世界ミドル級王座に挑戦する長谷川は、試合の2週間前までセラ・ロンゴ・ファイトチームで練習することを決めた。

大切な世界戦を前にして初めての土地で、見知らぬ練習相手のなかでキャンプを張る。この異例ともいえる決断の裏には、長谷川のンサン戦との大一番だけでなく、これからの成長に掛ける強い想いが含まれていた。


──NYへ行くという一報を頂き、「この時期に?」とまず驚いた次第です。

「へぇ、なぜですか?」

──次の試合は日本で行われる。日本の練習環境も決して悪くないなか、初めての練習場所でかなり直近まで練習する。やはり試合前というのが一番気になったところです。

「実際、僕もマネージャーのシュウ(ヒラタ氏)さんから、そういう話をもらった時はそれほど行こうと思っていたわけではなかったんです。頭の片隅に置いておいて、あとでじっくり考えようかというぐらいで。

でも練習場所になるセラ・ロンゴ・ファイトチームのレイ・ロンゴはンサンのことを知っていて、彼の以前の教え子がKO勝ちしたこともあるということだったんです。『来るなら、勝たせるようにスパーリング・パートナーも用意する』と言って貰えて。賭けになってしまうかもしれないけど、ここは行こうかと」

──練習仲間にも相談されましたか。

「ハイ。岡見さんは『イイじゃん!!』って。この話を貰う前から岡見さんからは、米国でキャンプを張るべきだって言われていましたし、そのタイミングでシュウさんから提案があって。元々は行くならサンディエゴのアライアンスかなとは思っていたのですが、初めての場所で伸るか反るかではないですが、色々と考えてNYに行こうと決めました。

またンサンと戦って勝てる確率が前より高いのかって言われたら、果たしてそうなのかという想いもありました。前回と比較するとスクランブル発進でない、日本で戦うなど状況的に良い部分はあります。でも、このまま日本でキャンプを張って戦うよりも、大きなスパーリング・パートナーとやりあえる環境で、練習に没頭する方が良いかと思いました」

──長谷川選手は図太いので、初めての環境でも戸惑うこともなさそうです(笑)。

「そこは自分を信じています(笑)。自分だったら、動じないでやり切れるという図太さを信じて決断しました。僕は米国にいてもストレスを感じないし、その場の状況というのは全て受け入れることができるんです。

アルジャメイン・ステーリングの家の一室を借りて、一緒に練習に行けるので移動のストレスもないですし、UFCライトヘビー級ファイターのジャン・ヴィランテとか練習仲間も用意してくれるということなので。それに向こうには佐々木憂流迦選手や井上直樹君、魅津希選手もいますしね。その辺りは気持ち的にも楽です」

──そして試合の2週間前までNYで練習すると。

「ハイ、1月21日に日本を発ちます。向こうには8週間います。それはレイから『キャンプをするなら、勝たせるために全力を尽くすから8週間必要だ』と言われたからなんです」

──そこまで言ってくれたのですね。

「ハイ。これが『8週間必要だけど、4週間で何とかするよ』的な言葉だったら、決心していなかったと思います。その言葉を信じました」

【ONE86】ラスル・ヤキャエフと戦う安藤晃司─02─「自分を信じてやるしかない」

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Koji Ando【写真】とにかく勝ち星。評価は勝利のあとについてくるのは、これまでのキャリアと同じだ(C)ONE

19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE86 「Eternal Glory」でラスル・ヤキャエフと対戦する、安藤晃司インタビュー後編。

現在3連敗中の安藤だが大敗、完敗という試合はない。スタイルとしてONEの裁定基準にあったファイターでないことを自覚したうえで、ヤキャエフ戦で安藤は自らを貫き通す。

<安藤晃司インタビューPart.01はコチラから>


──安藤選手はONEの計量方法よりも、水抜き有りで70.3キロの方が動きが良いようにも感じていたのですが、この計量にも馴染んだ頃ではないかと。

「う~ん、どうなんでしょうね。まぁ計量方法が変わったことで影響がまるでなかったということはないと思いますが……。ナーバスになるところですが、尿検査のある計量での水分の摂り方も分かってきました。もう77キロになっていますし、調子は良いです」

──対戦相手のヤキャエフは日本のファンからすると、青木選手に秒殺一本負けを食らった選手というイメージが強いです。

「青木選手と僕は全くタイプが違うので、青木選手が一本勝ちしたことは気にしていないです。青木選手は素早くフィニッシュするか、失速するかという選手なので。あの試合ですぐに一本負けしたからヤキャエフ選手が弱いとか、そういうことは全く思っていないです。青木選手の試合がハマった時は、誰もがああなると思います。青木選手のあそこの強さは本当にすごいので」

──どのような点が気になるファイターでしょうか。

「シャノン・ウィラチャイとの試合映像はチェックできていないのですが、組みがしっかりとできる選手だと思います。凄く怖い打撃があるというわけではないですが、手堅い試合をしますよね。

僕もそういうタイプであるので、彼のペースになってズルズルいかないようにしたいです。そのうえで焦らないでしっかりとプレッシャーを与え、当てるところで当てる。テイクダウンするならテイクダウンするというONEのジャッジに響くような試合をしたいと思います」

──ジャッジにどう判断されるのかは、考えるようになりましたか。

「そこは考えていかないといけないですが、正直に言うと頭の片隅に……というぐらいですね。やはりそこに捉われすぎて、焦ってしまっては何もならないですし。

僕はチーム・ラカイの選手のような回転系の蹴りを試合で見せるわけにはいかないですからね(笑)。ぶん回すパンチが有利なのも理解していますが、僕はできないです。ティモフィ・ナシューヒンと戦った時も、正直それほどパンチはもらっていないのに、大きなパンチを出す方が判定を持っていってしまうのは……。

だからもらわないで当てること、行けるときに行くということなんですかね。フックを振り回すのは僕のスタイルではないですし……僕が若ければガラッとファイトスタイルを変えることもあったかもしれないですが、やはり自分がやってきたことを貫いてコツコツと戦って、そこで勝っていきたいというのはあります。

ただ、それで僕は今こうやって負けているので、その戦い方で勝てる自信があるかと問われると、それはないんです(苦笑)。それでも、これまでやってきたことで勝負したい。絶対的な自信があるなんて言えないですけど、自分を信じてやるしかない。そういう気持ちが強いです。

僕の場合、大きな打ち上げ花火をあげた選手ではないので勝負論しかない。勝つことしか価値のない選手だと思うので、そのために練習もしっかりとやってきたし。ジムの会員さんや所属選手にサポートをしてきてもらい言い訳のできない状態まで体を作ってきたのでしっかりと勝ちたい。ただただ勝ちたい。今回はそういう気持ちで戦います」

【ONE91】オンラ・ンサンとの再戦を前にNY行きを決めた長谷川賢─02─「展開力を上げたいです」

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Ken Hasegawa【写真】3月31日──次にサークルケイジに足を踏み入れる時、長谷川の戦いはどのように変化してるのか (C)MMAPLANET

3月31日(日)、東京都墨田区の両国国技館で開催されるONE91「A New Era」でオンラ・ンサンの持つONE世界ミドル級王座に挑戦する長谷川賢インタビュー後編。

リベンジを賭けた世界戦の2週間前までNYのセラ・ロンゴ・ファイトチームで練習することを決めた長谷川。現地で何を掴もうとしているのか。ミドル級という世界でも非常に層が厚い階級で戦う彼だからこそ、もう一段上に上がるための戦い方を身につけようと、出稽古を決行するに至った。

<長谷川賢インタビューPart.01はコチラから>


──熱い言葉で既に信頼関係ができたのですね。

「まず信じることから。そこがないと始まらないですから。そうやっていくしかないって思っていたけど……とある人に『違うと思ったら、すぐに帰国すれば良い』と言ってもらえて。この言葉で、本当に気が楽になりました。行ったら行ったで、それは全て自分の経験になりますし」

──NYで何を身につけたいですか。

「MMA全体のレベルアップ……完成度を上げたい。結局、打撃が多めになったり、組技が多めになったりするので、全てをフルで回していけるようになりたいです。そうですね……展開力を上げたいです」

──展開力?

「次から次、次から次へと展開していける力ですね。そこを最近はずっと考えてやってきました。止めて、固めてという勝ち方の先にあるものですよね。強い選手は止めて固めて勝てるからこそ、さらに展開の速さという武器を持っています。

米国のミドル級やライトヘビー級の選手は、日本のライト級ぐらい動けますからね。そういう展開の速さ、次から次へと局面を変えていける速さが欲しいです」

──そこを体にしみ込ませるためのNYなのですね。

「頭で考えて動くことはできますからね。そうでなく、感覚で動けるようになりたいです。それと殴られることに対して、ビビる気持ちはあっても良いけど、ビビったらダメ。殴られた後も、必要以上に距離を取ることなく嫌がらないように戦えるようになる。

殴られて離れると、次の展開が生まれず同じことを繰り返すようになりますから。殴られた時の恐怖心を失くすためにも、週に一度は殴り合いのスパーとかしてきたので。言ってみれば、そこをやるためにずっとディフェンスに重点を置いた練習をやってきたんです」

──長谷川選手のMMAが次の段階に来たと。

「そのためには体が大きくて、動ける相手が遠慮なく掛かってくるところで練習する必要があるんじゃないかって。

殴られないで戦うのが一番です。自分だけ殴って展開を創れるようになりたいですけど、試合では殴られる。殴られても展開を創っていけるようにしたい。

苦しい展開になった時に大雑把な動きをするのではなく、丁寧に動く。そうでないと、本当の意味で展開なんてできないと思うんです。そういう今の自分に無いモノを、NY手で手に入れてきます」

──次の試合はONEの日本大会、そこでリベンジとなる世界戦を戦うのですが、その先をも見ているようですね。

「その先は考えています。ただし、次の試合はやはり大切です。負けてベストバウトになった相手と日本でもう1度戦うことができるって、最高の舞台だし。

ベストバウトはもういらないです。ボーナスで5万ドルがもらえたり、年間表彰されたことは嬉しいですけど、負けた試合ですからね。次は強くなって勝ちたい。それだけです。派手にやって派手に散れば良いなんて、微塵も考えていないです。だって、前の試合なんて審判がいなければ殺されていますよ」

──……。

「そこを考えると悔しくて、ムカついて。アワードに出席して……何回も自分がぶっ倒れているシーンが流されるんですよ。次は倒さないと……」

──そのためにも充実したNYでの日々になることを願っています。

「ありがとうございます。ニューヨーカーになって帰ってきたいです!!」

──?

「何がニューヨーカーって分かっていないですけど、少し言ってみたかっただけです(笑)」

【ONE86】猿田洋祐の挑戦を受けるストロー級王者ジョシュア・パシオ「サルタはとてもハイレベルな選手」

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Josha Pacio【写真】思うに伸びしろの塊のような世界チャンピオンなのだろう (C)MMAPLAET

19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE86 「Eternal Glory」で、猿田洋祐の挑戦を受けるONE世界ストロー級王者ジョシュア・パシオ。

初防衛戦を明日に控えた──23歳になったばかりの若き世界王者に、初防衛戦に対する想いを尋ねた。


──計量を終えたばかりパシオ選手です。今の体調はいかがですか。

「1時間前に計量が終わって、コンディションは上々だよ。これから体中に栄養を行き届かせていく。明日に向けて準備はできているよ」

──鈴木隼人選手から猿田洋祐選手にチャレンジャーが代わりました。この知らせを受けた時はまず何を思いましたか。

「ショックだった。試合の3週間…1カ月前だから、驚かされたよ。でもすぐに気持ちを入れ替えたんだ。スズキはテイクダウンから寝技でコントロールしてくる選手で、サルタはもっと打撃も使うし、テイクダウンもできてグラップリングにも長けているウェルラウンダーだ。

アレックス・シウバとの試合を見て、本当に良い選手だと思った。テイクダウンを奪うだけでなく、テイクダウンディフェンスも上手い。打撃も当てていたし、文句なしの判定勝ちだったね。良い選手であることは間違いないよ」

──つまり鈴木選手から猿田選手に相手が代わることで、ゲームプランも変える必要が出たということでしょうか。

「もちろんだよ。でもMMAだし、バランス良く戦うことに変わりはないよ。僕らが毎日、必死に練習してきた打撃、レスリング、グラップリングの全てを使って戦う。とにかくグッドコンディションを保つことができたし、ゲームプランが代わっても順応できたよ」

──ところで来週はマニラで大会が開かれます。

「そうなんだ。母国のファンの戦いたかったという気持ちは、正直少しはあるよ。でも、ONEから言われた大会で戦うのが僕の役目だからね」

──内藤のび太選手からベルトを獲った試合ですが、日本では判定結果に異論をはさむファンも少なくなかったです。

「確かにナイトーはテイクダウンを奪い、寝技でコントロールしようしていた。でもONEの判定基準は5Rを通して判断されるわけだし、テイクダウンは奪われてもナイトーは僕のガードの中にいて、パスはできなかったからね」

──その防御面で寝技の進歩が感じられる試合でもありました。

「本当に? 嬉しいな、そう言ってもらえると(笑)。ずっとチーム・ラカイは寝技になるとダメだと言われてきたからね。フィリピン国内でもそう指摘されていた。僕らはそれをネガティブに捉えず、寝技も上達させてやろうというモチベーションにしてきたんだ。ビデオを見て、皆で研究しあってね」

──出稽古を行うことはなかったのですか。

「マニラへ行って、ジョン・ヴァイロンに柔術を習うこともあったよ。しっかりとジョンは基礎を教てくれた。ジョンのところではノーギだけでなく、道着も着て練習していたんだ」

──そうなのですか!!

「ギの練習はとても楽しいからね」

──それは寝技も進歩するはずです。チャンピオンになったことでチャレンジャー時代にはなかったプレッシャーを感じることはありませんか。

「タイトルを防衛して初めて本物のチャンピオンになるって言われているし、必ず勝ちたい。その分ではプレッシャーを少し感じている。でも、僕は自分がやってきた練習とチームメイトを信じているから。サルタだけでなく強い選手が多いから、強くなり続けないといけない。なかでもサルタはとてもハイレベルな選手だ。だからこそ、明日はしっかりと僕が真のチャンピオンだと証明するよ」

──自らの防衛成功が、25日にマニラでアドリアーノ・モライシュの挑戦を受けるゲヘ・ユースタキオをプッシュすることになると考えていますか。

「もちろん。だから、それが少しプレッシャーになっているんだ。チーム・ラカイにいる4人のチャンピオンのなかで、僕が一番に防衛戦を行うことなったから、絶対に負けは許されないよ」

──そこを考えるとナーバスにならざるを得ないですよね。

「でもマーク(サンジャオ=チーム・ラカイの指導者)が、いつも『考え過ぎるな』と言ってくれるんだ。『やるべきことに集中しよう。チャンピオンはジョシュアなんだ』ってね。そうだね、負けられないという気持ちを良い風に活かしたい。サルタは強敵だけど、しっかりと勝って3月31日に日本のファンの前で戦いたいからね」

■ONE86対戦カード

<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
[挑戦者]猿田洋祐(日本)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
アレクシィ・セレピソス(ニュージーランド)
モンコンペット・ペッチインディーアカデミー(タイ)

<フェザー級(※キロ)/5分3R>
クリスチャン・リー(米国)
エドワード・ケリー(フィリピン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
プリシッラ・ガオール(インドネシア)
プジャ・トーマル(インド)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ヨゼフ・ラシリ(イタリア)
ジョナサン・ハガディ(英国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ステファー・ラハルディアン(インドネシア)
ロビン・カタラン(フィリピン)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ブルーノ・プッチ(ブラジル)
朴光哲(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アンソニー・アンゲレン(オランダ)
クォン・ウォンイル(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ラスル・ヤキャエフ(ロシア)
安藤晃司(日本)

<68キロ契約/5分3R>
スノト(インドネシア)
ニウ・カンカン(中国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
アディ・パリヤント(インドネシア)
アジス・カリム(インドネシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
オスカー・ヤフット(インドネシア)
アンドレアス・サトヤワン(インドネシア)

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